THE MAN FROM HONG KONG
監督:ブライアン・トレンチャード・スミス
音楽:ノエル・クィンラン
主演:ジミー・ウォング、ジョージ・レーゼンビー、レベッカ・ギリング、ロス・スパイヤーズ、フランク・スリング
1975年香港/オーストラリア映画
平日じゃないけど、過去記事アーカイブシリーズ・・・。
70年代香港カンフー映画界の重鎮、ジミー・ウォング先生が舞台をオーストラリアにまで移してカンフーしちゃったアクション映画。
ストーリーは、麻薬シンジケート撲滅のために、香港からオーストラリアにやってきた刑事が、
麻薬取引の影で暗躍するオーストラリア暗黒街のボスを追い詰めていく・・・というお話。
今回は現代劇ということもあり、ポリス・アクションとカンフーの合体という体裁を取っていて、
ジミー先生もスーツにタートルネックのインナーを合わせたりして、いつになくオシャレにキメています。
しかも、本作品ではブロンド美女とのラヴ・シーンまであって、普段こんなことしないもんだから、汗だくで大ハッスルしています(^^;)
一応ポリス・アクションなので、定番のカー・チェイス・シーンが楽しめます。
あんまり派手ではないですが、激突して路外に放り出された車が炎上、運転手が火だるまになって出てくる過激なシーンもあります。
また、爆走するバイカーにウェスタン・ラリアート食らわせてぶっ倒したり、
パーティー会場で鎌や槍を持った5、6人を相手に大立ち回りを演じたり、カンフー・シーンはいつものように頑張ってます。
なお、驚いたのは、「女王陛下の007」1本でジェームズ・ボンドを降ろされたジョージ・レーゼンビーが、
ジミー先生を相手にまともにカンフー・ファイトを繰り広げるところ。
なんか麻薬シンジケートのボスというよりポン引きのおっさんみたいな風体ですが、
さすがジェームズ・ボンドに起用された過去を持つだけあって、アクションもしっかりできるのですね、と感心しました。
ハングライダーで敵の本拠地に乗り込むシーンは、バックに流れる主題歌とともにこの映画の最大の見せ場になっています。
音楽は、どこの国の人かよく分かりませんが、ノエル・クィンランという人。
劇伴は極めてオーソドックスな70年代アクション系スコアで、適度にレアグルーヴ色を配した至って平均的な音作りです。
そんな中で、本作の最大の売りは、なんと言ってもジグソーが歌う主題歌「スカイ・ハイ」。
この曲はもはや説明の必要がないくらいメジャーな曲で、プロレスラーのミルマスカラスがテーマ曲に使ったり、
90年代にはリバイバル・ヒットしたりで、この映画を知らない人でも主題歌を知っている人はたくさんいると思います。
映画から主題歌がヒットすることはよくあることですが、この映画みたいに、映画はとっくに忘れられて主題歌だけが完全に一人歩きするパターンも珍しい。
それだけ本編がしょうもないB級アクションだということの裏返しなのでしょうね。
まあ、おっさんはこういう作品の方がむしろ大好きですが・‥‥笑
サントラに収録されている主題歌は、よく知られているコンパクトにまとまったバージョンと違って、中盤以降のインストパートが長く、主題歌とスコアが合体したような曲になっています。
サントラ盤LPは、日本ではかつて東宝レコードから発売されていましたが、
当然CDイヒされるはずもなく、現在では入手困難です。
しかし、あまり需要がなくスコア自体もたいしたことないので、意外と中古で1,000円以下で出回っていることがあります。
映画バージョンの「スカイ・ハイ」は、現在ジグソーのベスト盤CDで聴くことが出来ます。
ジグソーもこの曲が唯一最大のヒットなのでは‥・と思ってしまいます。
ベスト盤を聴いていると分かるのですが、この曲だけ異様にテンションが高くて、
あとの曲は可もなく不可もなく、「燃え」ないまっとうなロック・チユーンなのです。
この映画もスコアは「スカイ・ハイ」だけでもっているような作品でした(^^;)
でも、ハングライダーの飛行シーンやパーティー会場での激闘でこの曲が流れる時は、やっぱり「燃え」ます。
・・・と、ここまでが過去記事。
なんと、この作品のBlu-rayが国内でも発売されてしまいました。4Kレストアのデラックス版で日本語吹替音声も入っている上に、LP音源とは違うフィルム音源のサントラCDまでおまけでついています。貴重なフィルム音源のCDはこれまで発売されたことがないので、ファンの方は是非どうぞ。