MAD HEIDI
監督:ヨハネス・ハートマン、サンドロ・クロプフシュタイン
音楽:マリオ・バトコヴィッチ
出演:アリス・ルーシー、マックス・リュートリンガー、キャスパー・ヴァン・ディーン、デヴィッド・スコフィールド、アルマル・G・サトー、ケル・マツェナ
2022年 スイス映画
世界中で愛される児童文学「アルプスの少女ハイジ」を、エログロ満載の不謹慎極まりないエクスプロイテーション映画に再構築したバイオレンス・アクション。
「アイアン・スカイ」シリーズを製作したテロ・カウコマーが今回も素敵な作品を手掛けています。
映画の冒頭、この映画も「アイアン・スカイ」同様、クラウドでお金を集めて製作されたと紹介されます。
ストーリーは、独裁政権の息がかかった企業が製造する薬物入りチーズを消費することを国民の義務とされるスイスを舞台に、
違法チーズを売り座ばいていた恋人ペーターを目の前で殺されたハイジが、独裁者への復讐を誓い、祖国解放を目指して立ち上がる・・・・というお話。
一応、おんじ、クララ、ロッテンマイヤー、ヨーゼフも出てきますが、オリジナルとはちょっと違った設定になっています。
オープニングタイトルのバックに映し出されるプロパガンダポスター風の背景が素晴らしい。
「スターシップ・トゥルーパーズ」のキャスパー・ヴァン・ディーンが極悪非道な独裁者役で出ています。
ゴア描写も、CGメインですがかなり頑張っています。特にペーター殺害シーン(笑)の出来は素晴らしい。
ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭で上映され、観客賞を受賞しています。
容赦ないゴア描写があったり、お〇ぱいも普通に出てくるので、R18+指定を受けていますが、
なんとのこの映画は都会のミニシアターだけでなく、Tジョイでも上映されています。
1日2回の上映(うち1回は吹き替え版)ですが、田舎のシネコンでこの作品が観れるとは嬉しい限りです。
音楽は、マリオ・バトコヴィッチ。
どうやら、この人はもともとアコーディオン奏者のようで、ミニマルな演奏スタイルからエレクトロ系との相性がいいようで、
何枚かオリジナルアルバムも出しています。
本作品では、シンセメインのスコアを手掛けていて、ダークでアンダーグラウンドな雰囲気のスコアは、
ライバッハやイン・ザ・ナーサリーなどの一連のインダストリアル系のアーティストのサウンドを彷彿とさせます。
シーケンスパターンや野太いアナログ系シンセの音がおっさん好み。
ハイジのテーマ・モチーフとして、タランティーノ作品を意識したような女性ソプラノをフィーチャーした美メロのモチーフが用意されています。
復讐がテーマなので、本編もそうですがスコアにもマカロニ・ウエスタンの要素が盛り込まれています。
マカロニを思わせるアコギやエレキ、トランペットといった楽器が活躍するスコアもあり、
スコアが盛り上がるに従って、どさくさに紛れてモリコーネの「復讐のガンマン」にそっくりなフレーズが飛び出します。
サントラにこの部分は収録されていないので、もしかしたら原曲を挿入したか?
中には、バイオリン三重奏のようなクラシカルな雰囲気を持った悲し気なフレーズのスコアも登場しますが、
途中からマカロニ風スコアに変身して大笑い。
サントラは、ダウンロード版とアナログ盤の2種類が発売されています。