Una Sull’Altra
監督:ルチオ・フルチ
音楽:リズ・オルトラーニ
主演:ジャン・ソレル、マリーザ・メル、エルザ・マルティネリ、アルベルト・デ・メンドーサ
1969年 イタリア/フランス/スペイン映画
マカロニ・ゴアホラーの帝王ルチオ・フルチが60年代に撮った珍しくまともなサスペンス作品。
大きくとらえるとジャッロになるんでしょうが、ゴア描写は驚くほど控えめで、首チョンパも腸ドバ〜っも大量の流血もなく、普通のサスペンスという雰囲気の作品で彼のフィルモグラフィーの中ではかなり上品なテイストを持っています。
とはいえ、ジャッロものなので、お○ぱいはしっかり出てきます。
ストーリーは、イケメンの医師が病弱な妻を放ったらかしにして、日々愛人と不倫を重ねる中、妻が心臓発作で亡くなり、医師には保険金が入ってきます。あまりにタイミングのよい妻の死に、警察から保険金殺人の疑いをかけられます。そうこうするうち、医師はあるストリップバーで妻そっくりなストリッパーを見かけますが、彼はこのストリッパーに翻弄されることになる・・・というお話。
亡くなった妻にそっくりな女性に翻弄される男を描いた作品で、言わばヒッチコックの「めまい」のパチモンというところでしょうか。
後の「地獄の門が開かれた」系のゾンビ映画群とは一線を画す作品であり、フルチファンは観ておいて損はない作品だと思います。
音楽は、リズ・オルトラーニ。
メイン・タイトルは、モロにビッグバンドジャズでメチャクチャかっこいい。
劇伴も、基本ジャズになっていて、気だるい雰囲気のジャズスコア、ラロ・シフリンを思わせるスリリングなジャズ風スコアなどが並んでいます。
そんな中に1曲、サイケデリックでアシッドジャズ風なチューンが入っています。ソロもオルガンが取ったりして、かつてのJames taylor quartetあたりを彷彿とさせます。
全編ジャズで構成されたスコアのせいか、オシャレでクールな印象も受けます。このスコアが劇中も高い効果を上げています。
サントラは、アンダースコアらしい曲は入っておらず、とても聴きやすいジャジーなアルバムとなっています。
LPの時代にアルバムが発売された他、これまでに何度かCD化されており、その中でも極め付けは2017年に伊BEATレーベルから発売されたマッキラーとのカップリング2枚組CDで、本作品からは未発表曲も含めて21曲が収録されています。