L'occhio Del Mare
監督:ルチオ・フルチ
音楽:ファビオ・フリッツィ
主演:クリストファー・コネリー、ブリギッタ・ボッコリ、マーサ・テイラー、ジョヴァンニ・フレッツァ、シンツィア・デ・ポンティ、カルロ・デ・メイヨ、ルチオ・フルチ
1982年 イタリア映画
マカロニ・ゴア・ホラーの帝王、ルチオ・フルチが手掛けた珍しいオカルト・ホラー。
ストーリーは、エジプトで邪神に魅入られた考古学者一家が、アメリカに帰国すると周囲の人々が次々と不可解な死を遂げはじめる・・・というお話。
ゾンビ・ホラーではないため、ゴア描写はフルチ作品にしては控えめなのかなと思ってたら、どうやら本作品は製作中にどんどん予算が削られていったそうで、特殊メイクにかけるお金も無くなったのではないかと思われます。
ストーリーも見事に破綻していて、ユルユルの展開から無理矢理力業でラストに持ち込みます。
脚本は、フルチ監督の「地獄の門」、「ビヨンド」、「墓地裏の家」、そして本作と4作立て続けに手掛けたダルダーノ・サケッティ。
同じ人物が手掛けた脚本だけあって本作品を除けばどれも「地獄の門が開かれた!」みたいな似たような展開になっています。
本編後半でフルチ監督自身もちゃっかり医師役で出演しています。
大笑いしたのは、エレベーターのシーン。邪神の力でワイヤーが切れて人がエレベーターごと落下するのかと思いきや、床が抜けて人だけが落ちていきます。
音楽は、フルチ監督作品の常連、ファビオ・フリッツィ。
テーマ曲は、抑制の効いたサスペンスフルな雰囲気の曲。
サスペンス調ですが、キャッチーなモチーフが使われていて、劇伴にもしっかり活かされています。
「サンゲリア」などでもお馴染みの低音域の不気味な男性コーラスを摸したシンセがここでも活躍します。
全体的に小編成のオケをバックにプログレ編成のバンドが演奏している感じのスコアです。
この人の良いところは、テーマだけでなく劇伴もキャッチーなメロやリズムを持った曲が割と多いこと。
「クスコ」あたりを思わせるイージーリスニングなスコアがあったり、マンハッタンが舞台ということもあってか、アーバンな雰囲気のサックスをフィーチャーしたスコアがあったり、フルチホラーのサントラであることをつい忘れてしまいそうになります。
さらに劇中では、「ビヨンド」に激似のトラックも登場します。
サントラは、本国での公開時に4曲17分しか入ってないLPが発売され、2011年になってBeatレーベルから500枚限定で12曲32分収録のCDが発売されました。
現在では、CDと同内容のダウンロード版も発売されています。