バニシング

UOMINI SI NASCE, POLIZIOTTI SI MUORE
監督：ルッジェロ・デオダート
音楽：ウバルド・コンティニエッロ
出演：レイ・ラヴロック、マルク・ポレル、アドルフォ・チェリ、レナート・サルヴァトーリ、シルヴィア・ディオニシオ
、フランコ・チッティ、マリノ・マッセ
１９７６年　イタリア映画

まともな路線を１本紹介したら、またパチモンを紹介したくなってしまいました。
今日は、７０年代マカロニ・ポリス・ムービーの中でも、イケメン無頼刑事（デカ）が活躍する
わりとまともな１本（あくまで「わりと」です）。
レイ・ラヴロックとマルク・ポレル、この２人の甘いマスクは反則です。
このイケメン２人を起用したということは、女性をターゲットにしたのでしょうか。
でもやることはメチャクチャです。
こんなバイオレンス映画、女性は観ないだろ。
強盗などは捕まえるという発想は無く、離れたところから簡単に射殺します。
瀕死の犯人に止めを刺したり、やってることはマカロニ・ウェスタンと変わりません。
派手なバイクチェイスや高級車を無駄に爆破するシーンなど、アクションもサービス過剰気味。
捜査のため尋問した女性をいただいちゃったり、これ、ほんとなら自分たちが逮捕されちゃうレベルです。
まあ、ダーティなデカを描いたつもりなんでしょうが、明らかに間違っています。
でも、ルッジェロ・デオダート監督作品だからといえば妙に納得してしまうレベル。
一応、本邦でも劇場公開された作品なのですが、ビデオ化にあたっては、
「ダーティ・デカまかりとおる！」なんてタイトルに変えられています。

音楽は、ウバルド・コンティニエッロが担当。
デオダート監督作品での仕事が多く、
なんとデオダート監督の珍品青春ラブストーリー「フィーリング・ラブ」のスコアも担当しています。
主題歌は、これまたなんとレイ・ラブロックが歌ってます。
オープニングに流れる主題歌は、"Maggie"という曲。
フォーキーで、サイモン＆ガーファンクルと６０年代ブリティッシュ・ビートを足して５で割ったような歌でまあまあいい感じです。
ハッピーな主題歌から、いきなりお姉さんがバイクの２人組みのひったくりに遭い、
頭を鉄柱に激突させた上、カバンを奪おうとする犯人から顔を散々蹴られて絶命するという、
とんでもないシーンが飛び出します。
まあ、これってデオダート作品ならではの演出なんでしょうね。
劇伴は、この頃のマカロニ・デカ・ムービー（勝手にまたジャンル作ってる）の定番ともいえる
レアグルーヴィーなトラックが中心です。
ローズピアノをフィーチャーしたモンドなトラックが素晴らしい。
その他も、フランコ・ミカリッツィが書きそうなビッグバンド・ジャズ風のトラックなど、
そこそこバリエーションも豊富です。
でも、この映画、本国でシングル盤しか発売されていないのです。
このところ、なんでもかんでもＣＤにしているパチモン王国ですから、
本作のＣＤが出るのも遠い日ではないような気もします。
ただ、作曲家の知名度が今ひとつなので、ちょっと難しいかなあ。

ダーティ・デカまかりとおる! [VHS]/コロムビアミュージックエンタテインメント