ICEMAN
監督:フレッド・スケピシ
音楽:ブルース・スミートン
出演:ティモシー・ハットン、リンゼイ・クローズ、ジョン・ローン、ジョセフ・ソマー、ダニー・グローヴァー、デヴィッド・ストラザーン、フィリップ・エイキン、アメリア・ホール
1984年 アメリカ映画
地味だけど何故か心に残るSFドラマ。
ストーリーは、科学者チームが、北極の洞窟の中で発見された氷塊をレーザーで切断したところ、
中から4万年前のネアンデルタール人が見つかります。
チームは彼の蘇生に成功し、科学者と原始人との間に心の交流も生まれますが・・・というお話。
ネアンデルタール人を一人の人間として尊厳を尊重しようとする科学者と
単なる研究材料としか見ない科学者との間で考えが二分される展開など、考えさせられる部分もあります、
ネアンデルタール人に扮するのは、当時はまだ無名だった。ジョン・ローン。
特殊メイクで原始人になりきっています。
SFにしては、かなり地味な作品ではありますが、派手な特撮に頼らない所は逆に好感が持てます。
まともなセリフなしで、現代世界のモノ一つ一つに驚愕するジョン・ローンの演技が素晴らしい。
単なる異文化交流に終わることなく、ネアンデルタール人が何故たった一人で北極にいたのかなどの
謎に迫っていく展開もなかなかのもの。
監督は、「ロシアハウス」のフレッド・スケピシ。
最近になって知りましたが、製作にはノーマン・ジュイソンが携わっています。
音楽は、ブルース・スミートン。
おっさんは、この人のスコアと接する機会はあまりないのですが、
本作品は正攻法のオーケストラ・スコアになっています。
メインタイトルは、ストリングスがメインの落ち着いた雰囲気のスコアで、尺八がフィーチャーされています。
おおらかで雄大なスケールを感じさせるスコアです。
劇伴にも、メイン・タイトルのモチーフがしっかり生かされていて、全体を通して統一感があります。
雰囲気重視の無機質なアンダースコアはなく、劇伴といえどもドラマを感じさせるスコアなので退屈することがありません。
スコア全編にわたって、尺八がフィーチャーされていますが、おそらくこれがアイスマンを表現しているんだと思います。こういう使い方はわかりやすくて良い。
尺八があちこちに出てくるので、なんとなくジェームズ・ホーナーの「ウィロー」あたりを想起してしまう瞬間もあります。
地味だけど、しっかり主張のあるスコアで、クライマックスではスペクタクルな展開もあって聴き応えがあります
やっぱりこの頃のスコアはいいなぁ。
サントラは、公開時にLPとCDが発売されています。さらに、1994年にLPと同じsouthern crossレーベルから「Bruce smeaton at the movies」というCDが発売され、この中に本作のスコアが丸ごと収録されています。このCDと同じ音源のダウンロード版も入手可能です。