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Channel: サウンドトラック秘宝館
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アンコントロール

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SHORTA
監督:フレデリック・ルイ・ヴィー、アンデルス・ウールホルム
音楽:マーティン・ディルコフ
出演:ヤコブ・ローマン、シモン・セアルス、タレク・ザヤット、ウズレム・サグランマク
2020年 デンマーク映画






マイナーなデンマーク映画ですが、スリリングでヒリヒリするような緊張感を持った意外な拾い物。
ポリティカルアクションの側面もあり、見始めると最後まで引き込まれる作品です。
ストーリーは、治安の悪いデンマークの移民街で、ある若者が嫌疑不十分なまま警察に拘束され、
その後死亡したというニュースが国内に流れます。
移民たちの怒りは頂点に達し、怒りの矛先が移民街を巡回中の2人の警察官に向けられる・・・というお話。
移民街の迷路のようになった街並みを、圧倒的に不利な状況の中で逃げる警察官の姿をスリリングに描いてます。
(まあ、警察官の方も普段から必要以上に移民に暴力を振るったり、高圧的な職務質問をしたり、怒りを買う要素もあるのですが・・・・)
スヴァルガルデンと言うイスラム系のコミュニティが出てきますが、実在する場所なのでしょうか。
デンマークでは、パキスタン人の移民が問題になっているのかなあ。
小粒な映画ですが、どんどん引き込まれる不思議な魅力があります。
クライマックスからエンディングにかけては、主役が入れ替わってしまうという面白い構造になっています。
出てくるパトカーがステーションワゴンタイプなのですが、デンマークではこれが普通なんでしょうか。
デンマークのテロリズムや移民問題を扱った「デンマークの息子」も観てみたくなりました。
この映画、2020年ヴェネチア国際映画祭国際批評家週間に出品されたほか、

日本でも「未体験ゾーンの映画たち2021」で上映されています。


音楽は、「ボーダー 二つの世界」なども手掛けたデンマークの作曲家マーティン・ディルコフ。

メイン・タイトルは、打ち込みとオケのハイブリッドなスコアで、硬質なパーカッションに、控えめながらアラブ系のメロディが重なる躍動感あるスコア。
劇伴は、最近のサスペンススコアによくある定番のスタイルで表現されています。

インダストリアルな雰囲気もあり、ターミネーターの劇伴を思わせるものもあります。

全体を通じて、パーカッション系の音がカッコよく、人力テクノ風のアクションスコアもあって、リズムのみだけどなかなかかっこいい。
ただ、明快なモチーフはなく、アンダースコアに徹している感じです。
後半は、女性ソプラノとストリングスによる美メロのスコアがようやく登場。

緊張感あるアンダースコアばかり続いた後なので、ちょっとホッとします。
エンド・タイトルは、ポストロック調のインストで、

時折入るフィル・コリンズのドラムを思わせるタム回しがかっこいい。

スコア全体を通して、このエンド・タイトルが突出していい感じです。

なお、デンマーク産のポリスアクションなのに妙なラップが流れます。

デンマークにラップ、おっさんの勝手な先入観かもしれませんが、何か違和感を感じるなあ。

サントラは、スコアのダウンロード版が発売されています。

 

 

 

 

 

 

 


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