LE PORTE DEL SILENZIO
監督:ルチオ・フルチ
音楽:フランコ・ピアナ
主演:ジョン・サヴェージ、サンディ・シュルツ、リチャード・カストルマン、ジェニファー・ローブ
1992年 イタリア映画
ルチオ・フルチの遺作となるサスペンスホラー。
ストーリーは、ある男が車で家路を急いでいたところ、行手をのろのろと走る霊柩車に阻まれます。男が霊柩車を追い越すと、霊柩車は男の車を煽り始め、さらにその霊柩車の中には男の名前が彫られた棺桶が載っていた・・・というお話。
プロットの一部を「激突」から拝借して、そこへホラーな要素を加えたと言う感じの作品です。
オムニバスホラーの1エピソード程度の内容なのですが、同じようなシーンを繰り返してなんとか90分持たせたような作品で、往年のゴア描写も無く、中途半端な感じは否めません。
ラストのオチも、相当勘の悪い人でない限り、あっさり想像がついてしまいます。
製作は、これまたパチモンで名を馳せたジョー・ダマト先生なんですが、残念な仕上がり。
これが遺作だなんて、フルチ監督、ちょっと気の毒です。
とはいえ、予算をかけずにこれだけの作品を撮り上げていると思えば、大したものかも知れません。
音楽は、イタリアのジャズトロンボーン奏者ディノ・ピアナの息子で、自身もジャズトランペッターであるフランコ・ピアナ。
そのため、全編を通じてジャズスコアが流れる構成になっていて、オープニングから葬送行進シーンでジャズが流れます。
タイトル・トラックもゆったりめのビッグバンドジャズで、ポンチャートレイン湖にかかる道路橋を車で走るシーンも相まって都会的な雰囲気が満点😅
一瞬、フルチ作品であることを忘れてしまいそうになります。
アクションシーンに付けられたビッグバンド風なスコアはかなり本格的でカッコいい。
サスペンスシーンでは、ミュートを利かせたトランペットがしっかりサスペンスフルなニュアンスを出しています。この辺り、しっかり心得ていらっしゃる。
フルートがリードを取るアラビックな怪しい雰囲気を持ったスコアもあります。
さらに、気だるいジャズトランペットチューンもあり、ノワールな雰囲気すら漂います(ウソ)
ラストもニューオリンズジャズで締めくくります。
本編とは相反するなかなかの力作なのですが、公開当時にはサントラは発売されず、1993年に発売されたフルチのオムニバスCDに本作品から8曲が収録されました。