PATRICK
監督:リチャード・フランクリン
音楽:ブライアン・メイ、ゴブリン(イタリア版のみ)
出演:スーザン・ペンハリゴン、ロバート・ヘルプマン、ロッド・マリナー、ブルース・バリー、ジュリア・ブレイク、ロバート・トンプソン、ヘレン・ヘミングウェイ
1978年 オーストラリア映画
後に、「サイコ2」や「リンク」などを監督し、ヒッチコックの後継者ともいわれながら、
がんのため58歳の若さで亡くなったリチャード・フランクリン監督によるスリラー。
本作品は、同年のアヴォリアッツ国際ファンタスティック映画祭でグランプリに輝いています。
ストーリーは、マザコンの青年が、母親を殺してしまったショックで昏睡状態に陥ります。
彼は植物状態で体を動かせなくなりますが、そのかわりに意思の力で物体を動かすことができる超能力が備わり、
この力を使ってやがて惨劇を巻き起こす・・・というお話。
後に、2013年にオーストラリアでリメイクが製作されています。
目を見開いて遠方の物まで動かしてしまうパトリックの眼力がすごい。
(「メデューサ・タッチ」のリチャード・バートンを思い出す 笑)
自分のお気に入りの看護師にまとわりつく男を遠ざけようと念動力を使い始めるのですが、
力の源は結局異性かい、という男という動物の悲しい性が現れています。
音楽は、「マッド・マックス」のブライアン・メイ。
イタリア公開版だけが、ゴブリンに差し替えられています。
まず、オリジナルのブライアン・メイのスコアについて。
メイン・タイトルは、ハープや流麗なストリングスが印象的なメロディアスなスコアでそんなに悪くない。
「マッド・マックス」よりも聴きやすい印象のスコアで、メロディの輪郭がしっかりしている。
サスペンス描写のスコアも、低音域の重厚なストリングスを生かして小編成なオケながら迫力があります。
「キャシーのテーマ」などは、ピアノで始まるキャッチーなイージーリスニングチューンで、
流れるような美メロが素晴らしい。
正直なところ、何でゴブリンに差し替えなければならなかったのか理由が分かりません。
次に、ゴブリンのスコアについて。
テーマ曲は、シンセの打ち込みによるキラキラのアルペジオが強い印象を与え、
ニューウェイヴなギターのカッティングが入ります。
明快なメロはありませんが、当時の曲としては洗練されたイメージがあります。
ちょっぴり「炎の少女チャーリー」を思わせる雰囲気もあります。
劇伴も、ゴブリンらしいリズミカルなものが多く、スラップベースが小気味良いトラックもあります。
「ゾンビ」のテーマの一部フレーズを流用したスリリングなスコアもあります。
さらに、ゴブリンのオリジナルアルバム「ローラー」からそのまま持ってきた曲もあります。
ゴブリンのスコアも、これはこれで有りだとは思うのですが、オリジナルに比べると少し自己主張が強く、
映像の中で浮くんじゃないかなという印象です。
どちらの盤も、現在ではダウンロード版が入手可能です。